株式会社ツクイホールディングスの業績・将来性・強み・弱み

事業の強み：
ツクイグループの主力事業である介護事業は高齢社会の進行で市場規模の拡大を続けていますが、深刻な人手不足が続いています。そのような中、ツクイホールディングスはデイサービスを中止とした多店舗展開により人員の確保とノウハウの蓄積を進め、地位を確立して安定した運営体制を持っているのが強みと言えると思います。
また、すべての店舗を直営で運営しており、店舗ごとに地域に根差したサービス展開を進める中でも一定のブランドイメージをもってアピールできることも強みだと思います。
ツクイホールディングスはツクイへの不動産賃貸と経理管理を事業としており会社単体では安定した収益を生むことが可能です。

事業の弱み：
ツクイホールディングスは得意先がグループ会社のみであるため、会社単体としての評価はできず、グループ連結で評価する必要があります。大きな事業はツクイが営む介護事業でありグループ連結の評価の実質的な対象となります。
介護事業全般に言えることですが介護保険法によりサービス内容、介護報酬、必要な人員配置が決められているため、自社の裁量で利益を拡大していくにも限界があることが弱みあげられます。日本の介護保険給付費は10兆円を超えており、介護報酬を高くするほど財政を圧迫するため介護報酬は上がらず、事業者は利益確保が難しくなっています。結果的にそれが従業員の給与に跳ね返って低賃金の業界となり、離職率が高い一因となって業績悪化につながっています。
また、人に直接触れ生活を支える事業であるために地震や台風などの自然災害、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザなどの流行病、昨今の物価高と業績に影響を与えるリスクが広範囲かつ大きいという弱みもあります。

事業展望：
介護事業に関しては新型コロナウイルス感染症の蔓延が長期化しており、顧客と従業員両方に影響があることから暫くは利益確保が難しい時期が続くと思います。一方で新規出店に関しては事業譲受や株式譲渡といったM&Aによる事業承継が増えつつあり、事業拡大は続いていますがM&Aの経験値がまだ少ないことから成立後の運営を効果的に行う力がまだ備わっておらず、こちらも利益確保には時間を要すると思います。
介護保険外の事業に関しては、他社が市場を席巻している面もあり中核になりそうな事業がまだ生まれていないのが現状です。介護事業で利益を出しにくい環境下のため、介護保険外の事業が利益確保のキーになると考えられますのでこちら側のM&Aも今後増えてくるのではないかと思います。
投資ファンドの傘下に入って以降、組織再編、業務フローの見直し、新規ビジネスの開発、M&Aなど様々な取り組みが並行して行われています。非上場会社となって意思決定のスピードは速くなりましたが、オペレーションが未熟なところも多いため管理部門としてはコントロールする力をつけていくことに加え多くの案件をこなしていくバイタリティが必要になってくると思います。